東京高等裁判所 昭和48年(ラ)661号 決定
ところで、前記江川武富作成の書面(写)および記録に編綴されている警察職員作成の報告復命書(写)二通によれば、右近藤保は昭和四四年九月ころより出奔し、右郵便到達の当時も引続き所在を明らかにせず家族に連絡もしない状況にあったことが認定できるが、右の諸証拠によれば、右出奔中も同人の妻サクは家族とともに横浜市内に居住し続け、その間に従前の住所から前記加藤方へ転居したがこの転居先についても近藤保においてこれを知りうるものであったことが認められ、他方、妻サクの右転居が夫保の意に反するものであることないし同人ら夫婦には互に連絡交渉をもつことの不可能な事情があったことを認定すべき証拠はないから、前記の当時近藤保としてはいつでも妻サクと連絡をとりうる状況にあったものと認めることができる。従って、妻サクの居住する前記加藤方を近藤保の住所と認めることができるから、右のような状況下でなされた妻サクの前示郵便受領をもって、民事訴訟法第一七一条第一項に定める送達が近藤保に対して有効になされたものと解することができる。
(久利 安倍 舘)